「暁の家」を始め数多くの livearth 内部造作を指揮し納め、大工仕事の領域を超えた難解な作り付け家具の施工手順、必要な強度など も考えた特注部材の拾い出し、それを卓越した技術で最高品質に仕上げる事のできる特別な存在でもあります。そんな現代の名工と 呼べる田中氏と livearth 代表の建築家大橋利紀へのインタビュー記事です。
大橋さんとの出逢い
田)大橋さんの会社(施工会社のリビングプラザ)とは親の代からのおつきあいです。利紀さんとは利紀さんが会社に戻ってからのおつきあいになります。最初は正直、「ちょっと変わった人だな」と思ってました(笑)。 自分自身も「普通」じゃないと思ってるで「この人とならおもしろいことができそうだな」と直感で感じましたね。
田中さんが考えるいい家とは?
田)いいものをつくるには誰が設計するのも大事ですが、誰がつくるかも重要で、この二つが揃ってはじめて最高のモノができるんです。どちらかが「すごい!」ではダメなんです。有名な建築家に頼めばいい家ができるかといえばそんなことはなくて、いい家ができたとしたら、必ず腕のいい職人が傍らにいたはずなんです。その職人はなかなか表にはでてこなんですけどね。
大橋さんから見た田中さんは
大)こだわりの塊みたいな方ですね…お互いですけど(笑)。譲れるところは譲ってくれますが、「ここはこうしないとまずい」ということははっきり言ってくれるところは他の職人さんにはないところです。目先でなく長い目線でみてアドバイスしてくれます。
田)図面を見て一見納まっているところでも、自分が見たら「これは3年で壊れるな」とかわかります。他の大工さんは、「めんどくさいヤツだな」「もう頼むのよそう」と思われたくないから言わないんですが、自分ははっきりと言います。「これはあかん。もう一本補強入れないと持たんよ」と。3年とか5年とかしか持たないものはつくりたくないです。
田)機械加工で一見まっすぐ仕上がっている材でも、隅は微妙に曲がったりしているんですね。自分は「ここは鉋掛けさせてくれ」ってお願いするんです。きれいに納まるのもありますが、面が密着することで強度も出ますし。下地の向きとか反り具合とかすべてを計算に入れて納めていくんです。見る人が見れば「これよう納めたな」となります。
大)自分も田中さんの仕事は「きれいだな」とか「細かいな」とかは思っていたんですが、どうしてそうなっているのかがわかってきたのはここ数年ですね。
田)大工の技は誰にも負けないという自信はありますから。自分は正直気が短いですが、それをわかってつきあってくれている大橋さんには感謝していますね。普通だったらたぶんけんか別れしちゃってるでしょうから。この関係が築けているからこそ、ベストなものができていると思います。